筑波大学附属病院では、パーキンソン病が疑われる患者さんの核医学検査、パーキンソン病の治療中の患者さんの薬剤調整やデバイス治療の検討を目的とした他医療施設からの紹介を積極的に受け入れております。また、パーキンソン病と診断された患者さまの将来的な不安への対応や治療方針に関するご相談も受け入れております。
すでにかかりつけ医をお持ちの患者さん、遠方の患者さんについては、近隣のかかりつけ医と連携し、病状に応じて3-4ヶ月に1回などの頻度で併診も行なっています。
筑波大学附属病院の受診には紹介状が必要です。詳細につきましては「はじめて当科を受診される方へ」をご覧ください。
パーキンソン病とは
パーキンソン病は振戦(手のふるえ)、動作緩慢(動きの遅さ)、筋固縮(関節の動かしにくさ)、姿勢保持障害(転びやすさ)などを主な運動症状とする病気です(図1)。運動症状のほかに、便秘、起立性低血圧などの自律神経症状、不安、うつなどの精神症状、不眠、レム睡眠行動障害、ムズムズ脚症候群などの睡眠障害、痛み、疲労など、さまざまな非運動症状も合併します。運動症状は主に中脳黒質のドパミンを産生する神経が障害されることによって引き起こされると考えられています。
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パーキンソン病の診断
パーキンソン病の診断は主に脳神経内科(神経内科)で行います(図2)。まず、病歴を聴取し、神経学的診察をします。さらに、頭部CTや頭部MRI検査を行います。パーキンソン病では頭部CTや頭部MRI検査で明らかな異常は見られませんが、パーキンソン病と似た症状を示す他の病気ではその疾患に特徴的な変化を示すことが多いことから、診断に役立ちます。最後に、L-dopaやドパミンアゴニストなどの抗パーキンソン病薬の内服を行い、症状の改善を確認して確定診断します(症状がごく軽度の場合は、薬を開始しないこともあります)。
次に、パーキンソン病の診断にはDATスキャン、心筋MIBGシンチグラフィなどの核医学検査が有用であるものの、行うことのできる医療機関は限られています。筑波大学附属病院脳神経内科では、パーキンソン病が疑われる患者様に核医学検査を実施し、正確な診断を心がけています。また、他施設からの核医学検査施行目的の紹介も積極的に受け入れております。
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パーキンソン病の治療
パーキンソン病の発症を予防したり、進行を抑える根本的な治療法は現時点では開発されていません。しかし、症状を抑える薬を飲むことで、運動症状を大きく改善することができます。特に、発症3-5年はハネムーン期と呼ばれ、一日中安定した効果が得られます。ハネムーン期を過ぎ、進行期に入ると、1日の中で薬の効果が出にくい時間帯(オフ)や薬が効き過ぎて、自分の意思と関係なく体が動く(ジスキネジア)などの問題が生じます。また、薬の副作用も出やすくなるため、細やかな薬剤調整が必要となります。
経口薬剤治療のみでは安定した治療効果が得られなくなった場合や経口薬剤の内服量が多くなり、その副作用が強くなった場合は、L-dopa前駆体の皮下持続療法、脳深部刺激療法、L-dopa持続経腸療法などのデバイス治療の選択肢があります。年齢や症状、介護環境によって、適した治療は異なります。
筑波大学附属病院では、進行期の患者さんの薬剤調整やデバイス治療の導入を行なっています。