レジデントインタビュー

S2 猪狩弘大先生

式場:今回は医師4年目の猪狩先生にインタビューします.猪狩先生,自己紹介をお願いします.

猪狩:僕は千葉の高校をでて,筑波大学に入学しました.そのまま筑波大学附属病院の初期研修医になり,筑波大学神経内科にすすみました.3年目は関連病院で研修しました.

式場:内科のなかで神経内科独特の面白さはありますか?

猪狩:いろいろあるけど,勉強が常に必要で飽きがこないというのが大きいかな.大学はもちろん,市中でもいろいろな症例があるから.
個人的には,じっくりものを考えるのが性にあっていると感じる.神経内科のテンポ感が自分にはあっているかな.
内科のなかでも内視鏡ができるのは消化器内科の強みかなと思って,消化器内科とも迷ったけれど.同期と話していて,神経内科のローテーションは細かすぎて面白くないと言われて.そこで,自分は所見をとるのがすきで,逆に面白いと思ったから,面白いと思う能力がある分自分には神経内科があっているのかなと思った.

式場:なぜ筑波大学の神経内科を選んだんですか?

猪狩:出身大学だからというのが大きいかな.やはり仕事する上で楽ではあるし.それ以外の理由でいうと,自分は臨床医になろうと思っていたので,(前任の教授の)玉岡先生が臨床を重視していたから,臨床を学ぶのによいかなと思った.総合的にみる力が鍛えられると思った.それに,茨城は他の関東地域からアクセスが良いですしね.

式場:神経内科医になってみて,つらいことはありますか?

猪狩:今日は早く帰ろうと思っていたけど,仕事があって遅くなったり,オフの日でも資料作りが残っていたりするのがきついかな.でも,まぁそれは仕事だから,しょうがないかなとも思う.

式場:ライフワークバランスはどう考えていますか?

猪狩:オン・オフをしっかりしたいと思っています.大学は一症例ずつをとことん考えたり,サマリを書く忙しさはある.一方で,市中病院だと内科疾患を診ながら神経疾患を並行して診なければいけない.それぞれの忙しさがあるかな.

式場:今後の進路は?

猪狩:いまのところ決まってない.院には興味をもっているけれど,研究の間臨床から離れると,その分だけ一般内科診療を行う腕が鈍るから,市中の病院に戻った際にギャップを感じるだろうということが気になっている.一方で,院に進めば,論文を批判的に読む能力がつくとよく言われるから,症例報告を書く際に役に立つかなとも思う.神経内科は一般診療でも症例報告を書く機会がほかの科にくらべて多いから.
でも,正直,興味はもっていて,研究はやってみると面白いのでは?とも考えているんだよね.

C2 三橋 泉先生

大内:今回は医師6年目の三橋先生にインタビューします。三橋先生、簡単な自己紹介をお願いします。

三橋:埼玉出身で、高校は東京の高校に通っていました。その後、東京大学の工学部に進み、修士課程を修了してから、日立製作所に就職しました。学士受験で筑波大学に入り、初期研修も筑波大学附属病院で行いました。

神経内科医を志した理由

大内:三橋先生はなぜ神経内科になろうと思ったのですか?

三橋:初期研修で病歴と身体診察を主体に診断を決めていく過程を非常に興味深く感じました。ほかの科では、画像や病理などの検査結果を主に診断していくので、だいぶテイストが違うなと思いました。検査も重要とは思いますが、直接自分が診察で得たデータで診断が決められるのは自分の中の医師像とマッチしていると感じました。

大内:他に迷った診療科はありましたか?

三橋:やはり自分が魅力に思ったのは身体診察で診断を絞っていく過程なので、これほど身体診察を重要視する科はないのであまり迷いませんでした。

筑波大学神経内科を選んだ理由

大内:筑波大学神経内科を選んだ理由はなんですか?

三橋:自分が学んだ大学であるという理由が大きいです(笑)。実家が埼玉なので、実家から電車で1時間以内にアクセスできる立地や、大学病院で経験できる症例の豊富さが決め手ですね。筑波大学では伝統的にレジデントが主体的に患者様の診断に関わっていて、それも入局する理由でした。

神経内科の魅力・やりがい

大内:神経内科になって、魅力ややりがいを感じることは何ですか?

三橋:病歴や身体所見から推測した病態と、画像や検体検査の結果が一致した時にとてもうれしく感じます。神経内科は人間の意識や運動といったQOLに直接関係するところを治す科なので、治療によって患者さんのQOLを上げることができ、治って嬉しいという気持ちを共有できてよいですね。

大内:反対に、実際に神経内科になってつらいと感じたことはありますか?

三橋:わかってはいましたが、治らない病気や症状を改善する手立てのない疾患も多くありますね。学生時代や初期研修と違って、外来などで長期にそれらの患者様と関わるので以前より大きな責任を感じています。けれど、一方で、今は治らない疾患であってもここ最近の新薬や治療法の開発を見ていると、いつかは治るのではないかという希望も感じています。

現在の働き方

今は3歳の息子と1歳になる娘を保育園に預けながら仕事をしています。夫も手伝ってはくれますが、仕事と家庭の両立は一杯いっぱいでゆっくりとした関わり方は出来てはいません。大変ですが、毎日は充実していてつらいとは感じてないですし、数年後に振り返ったらきっと懐かしく感じるだろうなという予感もしています。

神経内科としての今後の抱負・進路

自分は数学や情報工学を別の大学で学んでから医師になったので、そのようなバックグラウンドをうまく臨床・研究に生かせるようなキャリアを積んでいきたいと思っています。

CF 大内翔悟先生

三橋:大内先生、簡単な自己紹介をお願いします。

大内:愛媛県出身です。2016年に筑波大学卒業後、初期研修も筑波大学附属病院で行いました。2023年度から院に進学し、研究室でParkinson病の研究を中心に学んでいく予定です。

神経内科医を志した理由

三橋:大内先生はなぜ神経内科医になろうと思ったんですか?

大内:気がついたら神経内科に進んでいたという感じです。志望理由については何も考えたことがなくて。学生時代の実習ではほぼ全科回って、どの科も面白く感じたのですが、もっとも今わかっていないことが多い科が神経内科だと思いました。

三橋:ほかに迷った診療科はありましたか?

大内:診断が好きだったので、救急科と迷いました。

三橋:神経内科と救急科だと、診療のペースが違いますが。

大内:ペースの違いはあまり気にならなかったですね。それに、神経内科も緊急の対応を要する患者さんは少なくないです。

筑波大学神経内科を選んだ理由

三橋:筑波大学を選んだ理由は何ですか?

大内:正直なところ、奥さんの地元がつくばというのが大きいですね。つくば市は公園や緑が多くて、子育てに向いているというのもプラスでした。

神経内科の魅力・やりがい

三橋:実際に働いてみて、魅力ややりがいは何ですか?

大内:治る病気が増えて、どんどん変わってきているのが楽しいです。私が筑波大学神経内科に入って5年ぐらいですが、その短い期間でもパラダイムシフトが起きています。

三橋:逆に、つらいと感じることはありますか?

大内:精査目的などの予定入院が中心だと考えていたんですが、思っている以上に神経疾患を伴うかたの急患が多いですね。だいたい3割ぐらいが緊急入院でしょうか。それが少し大変です。

現在の働き方

三橋:お子さんが一人いらっしゃいますが、子育てと勤務の両立はどうしていますか?

大内:3歳の子どもがいますが、月曜日から木曜日は奥さんがメインで保育所への送り迎えをしています。金曜日に関しては、奥さんが他院で外来をする日ということもあり、早めに帰って迎えをしています。土・日のオンコールは、二人とも家を空けることがないよう、オンコールは被らないように調整しています。

三橋:最後に、神経内科医としての今後の抱負、進路を教えてください。先生は院への進学を予定されていますが、研究を選んだ理由はありますか?

大内:そもそも、研究をやらないという理由はないと考えていました。神経内科医としての臨床自体、新しいことばかりで、論文を調べながら進めるので、研究自体に抵抗感はありませんでした。大学院では、研究と臨床をつないでいきたいと考えています。


筑波大学 神経内科(脳神経内科)

筑波大学附属病院
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