パーキンソン病の先行症状

パーキンソン病では、振戦や運動緩慢などの運動症状が現れる前に、便秘や嗅覚低下、レム睡眠行動障害などの非運動症状が現れることがあります(図1)。運動症状が出現した時点では、中脳の黒質細胞は50%程度脱落しているため*1、発症予防や進行抑制のためには、早期の診断および治療介入が重要と考えられています。
非運動症状の中でも、レム睡眠行動障害(眠っている間に夢の内容に合わせて寝言を言ったり体を動かしたりする疾患)はパーキンソン病に移行する可能性があり、予測因子として注目されています。レム睡眠行動障害を発症すると、10年以内に約50%の方がパーキンソン病に移行し(これを専門的に「表現型変化」と呼びます)、最終的には81-90%が何らかのαシヌクレオパチー(パーキンソン病・レビー小体型認知症・多系統萎縮症などのα-シヌクレインの蓄積を特徴とする病気)に移行します*2。このため、レム睡眠行動障害の診断は、パーキンソン病の発症前診断や進行抑制のための早期治療介入に重要である可能性があります。当院ではレム睡眠行動障害の診断に関する臨床研究を行なっておりますので、ご興味のある方は詳細について「レム睡眠行動障害の診断法の臨床研究」をご覧ください。

参考文献

1. Ann Neurol 26:507-14, 1989

2. JAMA Neurol 72:707-12, 2015

筑波大学 神経内科(脳神経内科)

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