パーキンソン病の患者数について

パーキンソン病の有病率

パーキンソン病はアルツハイマー病についで患者数の多い神経疾患です。50歳以上で発症することが多く、40歳以下で発症した場合は若年性パーキンソン病と呼ばれます。
人口全体では1000人に1人-2人程度の頻度ですが、高齢者に多い病気であり、65歳以上では100人に1人程度と増加します*1。5-10%の患者は、血縁者に発症者のある家族性パーキンソン病です。
高齢化に伴いパーキンソン病患者は増加しており、令和2年度の患者数調査*2では、国内でパーキンソン病の治療を受けている患者は28万9千人と報告されています。同資料によると、平成29年における総患者数は16万2千人であり、患者数が急増しているのがわかります。

パーキンソン病・パンデミック

世界全体でも、パーキンソン病患者は増加しています。JAMA Neurology誌に、パーキンソン病が向こう20年間でパンデミック状態に移行していくとの論文が発表されました*3 。パンデミックという言葉は、特定の病気が世界的に広がり、非常に多くの患者を発生することを指し、主にcovid-19などの感染症に対して使われてきた言葉です。
2014年度のメタ解析 *4 と世界の人口の増加予測 *5 からパーキンソン病患者の総数を推計すると、2015年の患者数は690万人であるのに対して、2040年の患者数は1420万人と倍以上になります(図1)。

未診断の例があること、および喫煙率が低下していること(喫煙によりパーキンソン病のリスクは半減します *6 。ただし、悪性腫瘍や生活習慣病、脳・心筋梗塞など他の疾患のリスクは増加するため、予防のための喫煙は推奨されません)、平均寿命が伸びていることを考慮すると、患者数はさらに増える可能性があります。
このため、パーキンソン病の発症・進行予防や早期診断の開発が急務となっています。

*1 Zafar, S, et al. (2023, August 7). Perkinson’s Disease. StatPearls. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK470193/
*2 厚生労働省. 令和2年患者調査傷病分類別(傷病別年次推移表)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/10syoubyo/dl/r02syobyo.pdf
*3 JAMA Neurol. 2018 Jan 1;75(1):9-10.
*4 Mov Disord. 2014 Nov;29(13):1583-90.
*5 US Census Bureau. International Programs: Region Summary. www.census.gov/population/international/data/idb/region.php. Accessed September 29, 2017.
*6 Fratiglioni L & Wang HX:Smoking and Parkinsonʼs and Alzheimerʼs disease:review of the epidemiological studies. Behav Brain Res, 113:117-120, 2000

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